Monthly Prog Notes

 3月最後…そして年度末最後の「Monthly Prog Notes」をお届けします。
 去りゆく平成時代、そしてやがて巡ってくる新年号時代への期待と予感と相まって、桜咲く春の訪れが肌で感じられる様になった時節柄に相応しく今回はスペイン、ブラジル、そしてイタリアといった…ラテンの魂と情熱、抒情と美意識が感じられる秀逸なるラインナップが出揃いました。
 ちなみに3作品ともヴォーカルレスでオールインストメインという不思議な偶然が重なりました…。
 スペインからは今やスパニッシュ・シンフォニック&ジャズロックの新鋭として気を吐いている“オン・ザ・ロウ”が2年振りの新作2ndを引っ提げて再び私達の前に帰って参りました。
 彼等の活動拠点バルセロナのイマージュに加え、ジャズィーでヘヴィなリリシズムを湛えひと回りもふた回りも成長を遂げたサウンドラビリンスを存分に御堪能下さい。
 そして今回の注目株で目玉的存在、ブラジルから驚愕と衝撃の期待の新鋭“ストラトス・ルナ”の堂々と鳴り物入りのデヴュー作は、時代と世代を越え全世界中のプログレッシヴ・リスナーに是非とも聴いて頂きたい、プログレッシヴ・ロック愛に満ち溢れた至高の傑作登場と言っても過言ではありません。
 ジェネシス始めイエス、キャメル、PFMといった往年のプログレッシヴの強者を徹底的に研究し、敬意とリスペクトといった概念云々すらも遥かに超越した、まさに嗚呼…これぞプログレッシヴ・ロックの醍醐味を体感させてくれる素晴らしい贈り物となるでしょう。敢えて必聴必至を断言いたします!
 イタリアからも21世紀のニューカマーながらも、70年代の黄金時代といった伝統と王道の概念をも超越した古色蒼然ながらも温故知新を絵に描いた様なヴィンテージサウンドで、イタリアン・ロック黎明期の原点回帰を謳ったオルガンメインでサイケ色満載の“プロトコッロC”のデヴュー作も要注目です。
 メロトロンやシンセの音色こそ出てこないものの、かのデヴュー初期のフォルムラ・トレやトリップに肉迫する様な熱さと香り、良い意味でアナクロで70年代レトロな雰囲気が深く味わえる珠玉の一枚となるでしょう。
 桜舞い散る春の朧月夜の下で、心揺さぶり魂を熱く焦がすプログレッシヴ・パッションをどうか心ゆくまで存分に御堪能下さい。

1.ON THE RAW/Climbing The Air
   (from SPAIN 2019)

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       1.Climbing The Air/2.Red Roses/3.Resistance
      /4.Moneypenny/5.Herois/6.Blackmail
      /7.Skeptic

 2年前の鮮烈なるデヴュー作でスパニッシュ・ロックファンのみならず世界中のプログレッシヴ・リスナー諸氏・各方面から賛辞と高評価を得て、瞬く間に新世代スパニッシュ・ジャズロックの担い手として話題と注視の的となったオン・ザ・ロウが、満を持して新譜2ndを引っ提げて再び我々の前に帰ってきた。
 前デヴュー作以上にスケールアップした感すら抱かせる堂々たる演奏ぶりの凄まじさと素晴らしさも然る事ながら、今作ではフルートのみならずサックスまでもフィーチャリングし都会的なハイセンスに加えてバルセロナの空気と風すら想起させるリリシズム、クリムゾンやVDGG風の路線に歩み寄ったかの如きロマンティシズムとヘヴィネスとがハイブリッド化した唯一無比の音空間の構築に成功している。画像
 21世紀というリアルタイムと70年代風なヴィンテージとが融合した音色を奏でるキーボードとギター、強固でコンビネーション抜群なリズム隊、ゲスト参加したヴァイオリン兼トランペット奏者の活躍に女性スキャットが華を添えるといった絢爛豪華で質実剛健な正統派スパニッシュ・プログレッシヴが存分に堪能出来る好作品に仕上がっており、スルメの様に噛めば噛むほど味が出る…繰り返し何度も聴く度にハッとする様な煌きと発見が垣間見え、齧り聴き厳禁な崇高さと彼等のプライドが如実に表れているかの様だ。
 …とは言いつつも、スペイン産のワインをグラス片手にゆったりとした心地良さで優雅に且つ気楽に聴けてしまう、そんな粋な気分にさせてくれる心憎さが癖になってしまいそうだ(苦笑)。
                 

Web http://www.ontherawband.com 
    https://www.facebook.com/ontherawband/?epa=SEARCH_BOX


2.STRATUS LUNA/Same
   (from BRAZIL 2019)

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       1.Nimue/2.O Centro Do Labirinto/3.Zarabatana
      /4.Pandas Voadores/5.NREM=1/6.Onírica
      /7.Efêmera

 活況著しい21世紀のブラジリアン・プログレッシヴを物語るかの様に、ここにまた一つ前途有望な期待の新鋭が華々しくデヴューを飾る事となった。
 ストラトス・ルナと名乗る、見た目平均年齢20~30代とおぼしき若手4人組は、まさしく次世代のブラジリアン・シンフォニックの担い手となるべく時代と世紀を越えて全世界中のプログレッシヴ・ファン並びリスナーの欲求と心を満たしてくれるであろう、そんな一朝一夕では為し得ない実力派集団であると言っても過言ではあるまい。
 フルートからシタールまでも手掛けるキーボーダーを筆頭に、アコギからスティール・ギターの腕前も抜群なギタリスト、的確で堅実な演奏技量を兼ね備えたリズム隊が画像織り成すシンフォニック・ワールドの迷宮からは、昨今主流のメロディック・シンフォやネオ・プログレとは一切無縁な作風で、ジェネシス始めイエス、キャメル、GG、PFM、フォーカス、そして幾数多ものイタリアン・ロック…等といった往年期の大御所達からの影響が徹頭徹尾滲み出ており、ハモンドやメロトロンの残響音に、タンジェリン調のシンセやらハウを彷彿とさせるギタープレイといった、新旧の世代を越えてプログレッシヴ・リスナーならニヤリと微笑んだり泣いて喜びそうな大盤振る舞いな曲構成に感動と興奮の坩堝で涙腺崩壊必至といえるだろう。
 コンポーズ能力とスキルの高さに舌を巻くのも然る事ながら、プログレッシヴ・ロックに対する飽くなき探求心と真剣に取り組み研究しているという真摯な意欲が結実したハイレベルでハイクオリティーな傑出した一枚であると断言出来よう。
 これを聴かずしてもはや2019年は語れないだろうし、私自身の中では既に2019年の最優秀新人賞のノミネートが決まってしまった事だけは確かである。
 些か気が早いものの…もう次回作まで待ち遠しいと思える位、兎にも角にももうこれは絶対に聴いて頂くしかあるまい!
                 

 Web http://stratusluna.com 
    https://www.facebook.com/pg/stratusluna/photos/?ref=page_internal


3.PROTOCOLLO C/Same
   (from ITALY 2018)

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       1.Adolescenza/2.Maturita'/3.Perdita Della Routine
      /4.Premeditazione/5.Metamorfosi Degli Innocenti
      /6.Presa Di Coscienza/7.Fierezza/8.Consapevolezza
      /9.Goodbye Italia/10.Flashback

 イタリアはかのリザードレーベルから久々に味わい深い渋みを感じさせるニューカマーが登場と相成った。
 トリノ近辺を拠点に地道に活動していたギター、キーボード、ベース、ドラムスによる基本的な4人編成スタイルのプロトコッロCの昨年末にリリースされたデヴュー作が届けられた。
 21世紀イタリアン・ロックの範疇でありながらもまるで時代に逆行したかの様な何ともアナクロ+モノクロ的な感を抱かせる意味ありげな意匠であるが、肝心要の作風とサウンド面でもアートワークのイメージと寸分違わぬ、さながら70年代初頭のイタリアン・ロック黎明期の音…強いて挙げるなら初期のフォルムラ・トレやトリップ、パンナ・フレッダ、エクスプロイト、イル・システマ、果てはダルトンの1stに近いシンパシーといった通好みのロック系といえば当たらずとも遠からずといったところだろうか。画像
 キーボードの音色も幾分初期のオルメを意識しているかの様にオルガンとエレピのみといった至ってシンプルな構成で、更にここでサイケでヘヴィなカラーとフィーリングを湛えたギターが出てくれば「あの…これって70年代の発掘物?アーカイヴの未発表音源?」と誤認してしまいそうになるのも頷けよう。
 70年代回帰型ヴィンテージサウンドを踏襲した継承スタイルの21世紀イタリアンは数多く存在しているものの、彼等はそんな概念云々すらをも遥かに超越した、ある意味本当に通の中の通が好みそうなロックが演りたかったのだろう。
 あの黎明期当時の世代の若者の気持ちになりきって(代弁して)演ってしまうところが何とも実に潔く、良い意味で開き直りにも似た自らの音に対する自負と信念すら感じられて、何とも清々しい好印象を抱かせるところも彼等ならではの持ち味と人間味なのかもしれない。
                 

Web https://www.instagram.com/protocollo.c/ 
    https://www.facebook.com/protocolloc/?epa=SEARCH_BOX

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