Monthly Prog Notes

 新元号令和初となる「Monthly Prog Notes」をお届けします。
 風薫る初夏から本格的な夏へと季節の移り変わりに相応しく、今回はベテランとニューカマー選りすぐりの素敵なラインナップが出揃いました。
 久々のアメリカン・シンフォニックからはスポックス・ビアードやエコリンと並ぶ同世代バンドでデヴューを飾って以降、実に今年で20年選手のキャリアを誇る“イズ”の通算7作目に当たる4年振りの新譜は、大御所ブリティッシュ・プログレッシヴからの影響下にアメリカンナイズでキャッチーなポップフィーリングがコンバインした、ベテランの域ならではの素晴らしい仕事ぶりに感嘆することしきりです。
 日本からは海外に負けず劣らず久々の期待の新星ニューカマーとして、以前よりその動向が注目されていた神戸出身の“アイヴォリー・タワー”のセンセーショナルで驚愕のデヴュー作がお目見えとなりました。
 プログレッシヴをこよなく愛する者達が全世界の世代を越えてプログレッシヴを愛する者達に贈る、名実共にメイド・イン・ジャパンの久しく忘れかけていた純粋なるロック・シンフォニーは感涙と興奮、必聴必至の最高のデヴュー作となりました。
 正直、これを聴かずして2019年の日本のシーンは語れないでしょう!
 久々の東欧ハンガリーからは元ソラリスのベーシストが結成した“トムポックス”の6年振り3枚目の新譜が満を持して到着しました。
 ソラリス・サウンドの流れを汲んだ、ヘヴィさとリリシズムが隣り合った東欧ならではのエキゾチックさが漂う極上の音空間は21世紀の現在進行形というハンガリアン・シーンの盛況を物語っており、リスナーの心を熱くする最高の一枚に仕上がってます。
 新元号を祝するハーモニーの如く、爽天の青空の下で奏でられるプログレッシヴに愛された匠達の魂の饗宴に暫しの間、どうか耳を傾けて頂けたら幸いです。

1.IZZ/Don't Panic
   (from U.S.A 2019)

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     1.Don't Panic/2.42/3.Six String Theory
    /4.Moment Of Inertia/5.Age Of Stars

 1999年『Sliver Of A Sun』でデヴューを飾って以降、スポックス・ビアードやエコリンと並んで21世紀アメリカン・シンフォニックの担い手として実に20年選手という長いキャリアを誇るイズ
 電脳空間というかゲーム感覚なサイバースペースを彷彿とさせるアートワークが描かれたであろう本作品はスタジオアルバムとしては(2枚の未発マテリアルを除き)実に4年振りの通算7枚目に当たる新譜である。
 マイペースながらも堅実で且つ精力的な活動を継続し、大御所のイエス始めジェネシス、GGといったブリティッシュ・プログレッシヴからの多大なる影響下を感じさせながらも、画像リスペクト云々といった安易な概念すらも超越した、かつてのカンサスやイーソスとは異なったスタンスで純然たるアメリカン・シンフォニックの王道たるものを邁進しているかの様ですらある。
 決してゴリゴリでマニアックなユーロロック路線に傾倒する事も、昨今のメロディックな路線やポストロックな方向に寄りかかる事無く、プログレッシヴでありながらもキャッチーで心地良いアメリカンなポップフィーリングに裏打ちされたメロディーラインの素晴らしさに加えて、メンバー全員のコーラスワークを含めた演奏技量とスキルの高さに、久しく忘れかけていたプログレッシヴ・ロックを創作するという気概と精神の高みに懐旧の思いで再び触れた様な…そんな気持ちが甦ってくる、彼等の全作品中に於いて会心の一枚と言えるだろう。
 こうなるとプログレッシヴ・ロックの醍醐味はやはりライヴありきで思うが故、願わくばクラブチッタさんの御尽力で来日公演を拝見したいと思うのは、それは些か無い物ねだりな私の我が儘であろうか(苦笑)。
                 

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2.IVORY TOWER/The Earth
   (from JAPAN 2019)

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     1.ニューヨーク金融危機/2.イグアスの滝/3.シギリヤロック
    /4.組曲「ヒクソス」/5.夕焼けのモンサンミッシェル
    /6.サモアの残照/7.モンマルトルの夜明け

 数年前にNHKの某プログレッシヴ・ロックコンテスト番組で栄えあるグランプリを獲得し、そのあまりにアマチュア臭さが皆無な新人離れで卓越したライヴ・パフォーマンスで一躍脚光を浴び、その後の動向と進捗が大いに注目されていた、神戸出身の期待の新星アイヴォリー・タワー
 個人的で恐縮ながらも…今こうして念願叶って待望のデヴュー作が遂にリリースされた事を非常に喜ばしく思うと共に、私自身もデヴュー以前から何度か彼等と意見と助言を交わしていたが故に、試行錯誤と紆余曲折を経てのデヴューリリースを目の当たりにし改めてその感慨深い思いは隠せない。
 彼等が長年敬愛して止まなかった…ジェネシス、クリムゾン、イエス、果てはラッシュといった往年の先人達から受けたスピリッツとエッセンスとが、ジャパニーズ・プログレッシヴのアイデンティティーに程良く調和・融合した好作品へと昇華しており、その期待に違わぬ完成度の高さに画像、バンドのキャリアやら経験値云々といった理屈や枠を通り越して、只々純粋に感服の思いで心から素直に拍手を贈りたい愛すべき一枚になったと断言出来よう。
 日本人の創作するプログレッシヴの新たなる一頁を刻み付けながらも、プログレッシヴ・ハード系やジャズロック系ではなく、あくまでも純然たる…同郷のクェーサー始め、浪漫座、ミダス、マウマウそしてユカ&クロノシップとといった正統派シンフォニック系列の王道を歩みつつ、秀逸で意味深な意匠を含めアルバムタイトル通りの“地球=母なる星”への讃歌でもあり、森羅万象の美しき情景、慈愛と憂い、皮肉と矛盾…等を孕んだ様々なカテゴリーの世界観が一枚に凝縮された最高傑作へと高めている。
 誇り高き日本のプログレッシヴとして、威風堂々ワールドワイドに胸を張れる素敵なデヴューを飾った事に“おめでとう”の言葉を捧げたい。
                 

Web https://artist.aremond.net/ivorytower/?fbclid=IwAR0m4PyImx3-NhxytgEIQFmxmggnnHgU2V0yukv3cDtq4RfAAGpTHZwUggU 
    https://www.facebook.com/ivorytower333/?epa=SEARCH_BOX


3.TOMPOX/Reincarnation
   (from HUNGARY 2019)

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     1.Without Illusions/2.Ring of Saturn/3.Milfyway
    /4.Pompeii/5.Speed ​​Limit/6.Balloon Ride
    /7.Interstellar/8.Moon Express/9.Old Buda
    /10.Reincarnation/11.Neverending Dream

 1984年、東欧ハンガリーよりイーストに次いで突如彗星の如くセンセーショナルなデヴューを飾り、以降90年の『1990』、99年の『Nostradamus Book Of Prophecies』といった秀逸な傑作群をリリースし現在もなお精力的な活動を継続しているソラリス。
 そのオリジナルメンバーでもありベーシストだったTamás Pócs(『Nostradamus Book Of Prophecies』まで在籍していた)のニックネームをそのまま自らのバンド名に冠したトムポックスの本作品は実に6年振りの通算3作目の新譜となる。
 デヴュー以降バンドメイトだったギタリストとフルート奏者が交代し、更にはサックス奏者を加えた新たな6人編成の布陣で臨んだ待望の新作は、画像6年間というブランクを一切微塵にも感じさせない位、ソラリス時代に培われた音楽経験とその系譜が見事に継承された、まさしく円熟の域に達したベテランたる技量と実力を物語っており、ヘヴィで力強い重厚さと東欧ならではのリリシズムとエキゾチックさが隣り合った、聴く者の心を打ち胸を熱くさせる会心の一枚に仕上がっている。
 デヴューそして2作目に続き今作でもコロンブスの卵をも連想させる思惑ありげなアートワークは健在であり(決して手抜きでない事だけは御理解して頂きたい)、良い意味でサウンドワークとコンセプト含め何一つ変化が無い事をそこはかとなく匂わせている辺り、そんな心憎さに聴き手である我々もついつい顔が綻んでニヤリとしてしまいそうだ…。
 彼等トムポックスも然る事ながら、大御所のオメガに本隊のソラリス、そしてアフター・クライング…etc、etcを含め、更に新たな次世代の登場が期待出来そうなハンガリー勢、これから先もなおハンガリアン・プログレッシヴは面白くなりそうな予感がする。
                 

Web http://www.tompox.eu 
    https://www.facebook.com/Tompox-zenekar-149341438452535/?__xts__

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