Monthly Prog Notes

 4月最後…否!平成という激動の時代最後の「Monthly Prog Notes」をお届けします。
 今回は来るべき新時代へと繋がるターニングポイントに相応しく、ベテラン勢とニューカマーによる実にヴァラエティーに富んだ3バンドが揃い踏みです。
 カナディアン・ネオ・プログレッシヴの代表格ミステリーと共に人気を二分するであろう“ヒュイス”3年振りの新譜3rdは、彼等のアイデンティティー…そしてバンドの持ち味が昇華したコンセプトスタイルの傑作に仕上がっています。
 ジャケットアートの秀逸さに加えてエモーショナルさと憂いに満ちたリリシズムが聴き手の胸を焦がす事必至で、ネオ・プログレやメロディック・シンフォといった概念すらも超越した雄大にして荒涼たる音楽の流れを体感して下さい。
 今やロシアン・プログレッシヴ屈指の代表格となった感すら窺える“ロスト・ワールド・バンド”、3年振り待望の6枚目の新作が到着しました。
 クラシカルで優雅ながらもクリムゾンイズムに彩られ、今作では5人編成のバンドスタイルへと移行してGGやPFMばりのテクニカルスタイルが加味された超絶テクニカルでロックしている孤高の極みへと達しています。
 今もなお現在進行形であるロシアのシーンの熱い息吹きとパッションを是非ともお聴き下さい。
 アメリカからは久々のニューカマー登場です。
 ショービジネスの本拠地ニュー・ヨークから彗星の如く現れた、次世代を担うであろう期待の新星“キャロー・キャレイ”のセンセーショナルなデヴュー作がお目見えです。
 イエスとジェネシス影響下にして、カンサスを始めとする正統派アメリカン・シンフォニックの系譜と伝承を汲んだ、アマチュア臭さ一切無しの徹頭徹尾にプロフェッショナルなプログレッシヴ・ワークに挑んだ、驚愕の新鋭の降臨に必聴必至であると共に北米シーンの奥深さに感嘆する事でしょう。

 平成という時代の最後を迎えつつある一方で、私を含め皆誰しもが新たなる“令和”という新時代に期待と希望、それぞれの思いを馳せながら一歩また一歩と進みつつ、令和時代にもまた心打つ素晴らしい音楽作品と出逢えるであろう…そんな予感に心踊らせながら、新時代到来の喜びを奏でる魂の楽師達の饗宴を御堪能下さい。

1.HUIS/Abandoned
   (from CANADA 2019)

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       1.Abandoned/2.The Giant Awakens/3.Caducée
      /4.Stolen/5.Solilude/6.Chasing Morning Glory
      /7.Haunting Days/8.We Are Not Alone
      /9.Oude Kerk III

 あたかもジェネシスの『静寂の嵐』をも連想させる実に劇的で荒涼たる心象風景をも描いたかの如く、そんな意味深で且つ陰影を帯びた世界観の意匠に思わず惹き込まれそうな21世紀カナディアン・ネオ・プログレッシヴの雄へと上り詰めた感のヒュイス
 本作品は実に3年振りとなる新譜3rdに当たり、幻想的でダークなる趣のミューズが描かれたデヴュー作と前作の2ndから一転して、今作では写実的ながらも寂寥感と抒情美を湛えた…ややもすればデジャ・ヴとおぼしき感性が垣間見えて、彼等自身も着実にステップアップした意気込みすらも窺える。
 同国のネオ・プログレッシヴの旗手ミステリーのギタリストMichel St-Père が結成当初からのオリジナルメンバーという事もあって、画像デヴュー当初こそミステリーの別動隊的なイメージが無きにしも非ずといった感があったものの、本作に於いて漸く遂に彼等自身のアイデンティティーなるものが全面的に打ち出された、ネオプログレッシヴはおろかメロディック・シンフォ云々といった概念とカテゴリーすらも超越したであろう、文字通り胸のすく様な快作品へと昇華している。
 大御所のマリリオン始めラッシュといったバックボーンの影響下も然る事ながら、ミステリー始め往年のアルモニウムからゲストを迎え、カナディアン・プログレッシヴの奥深さと底力が徹頭徹尾に反映されており、お国柄にも似通ったエモーショナルさとイマジネーションとが互いに交錯し合い、ヘヴィ&リリシズムなシンフォニーが幽玄に木霊する傑作級の一枚となった事を物語っていると言っても過言ではあるまい。
                 

Web http://www.huisband.com 
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2.LOST WORLD BAND/Spheres Aligned
   (from RUSSIA 2019)

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       1.Aligned/2.Rockfall/3.Dawn Day Dusk Night
      /4.Running In The Sun/5.Symphonic/6.Aise
      /7.Sail Away/8.Crystalized/9.Lighter Than Air
      /10.Pressured/11.I Am The World

 2001年、ギター始めヴァイオリン、ベースとマルチに手掛ける実質上の音楽的リーダー格Andrey Didorenko、そしてフルート兼パーカッショニストのVassily Solovievを中心に結成されたロスト・ワールド・バンドの本作品は通算6作目の新譜に当たる。
 ロスト・ワールド名義でデヴューを飾りクラシカルでチェンバーなカラーにクリムゾンイズムがコンバインした『Trajectories』を皮切りに初期の傑作となった2作目『Awakening Of The Elements』を経て、現在のバンドネーミングに改名後の『Sound Source』『Solar Power』そして3年前の前作『Of Things And Beings』と、概ね2~3年というコンスタンスな製作リリースという自らのペースを保持しながらも、画像21世紀という現在(いま)をリアルに生き続けており、もはや同国の雄リトル・トラジディーズすらをも凌駕する位にロシアン・プログレッシヴの代表格へと上り詰めたベテランの域と貫禄すら漲っていると言えよう。
 度重なるメンバーの入れ替わりといった交代劇の紆余曲折を経て、今作からAndreyとVassilyのオリジナルメンバーに加えて、新たに専任の女性キーボーダーと強固なリズム隊を迎えた完全5人編成のバンドへとシフトチェンジしており、クリムゾン始めPFM、GG、UK、そしてミニマム・ヴィタルといったプログレッシヴ界の大御所の系譜に続けとばかり、リスペクトと伝承をも超越した絶妙なるテクニカルさと非凡なハイセンスが光る極上の音空間が存分に堪能出来る最高作へと仕上がっている。
 都会的でアーバンなイメージに加えて甘くメロウなヴォーカルラインの素晴らしさも忘れてはなるまい。
 オープニングからラストナンバーまで息つく暇すらも与えない位に、プログレッシヴのダイナミズムとスリリングさがせめぎ合う、名実共にロシアという国の枠をも越えたマスターピースの降臨にどうか心してお聴き願いたい。
                 

Web http://lostworldband.com 
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3.CALLOOH CALLAY/Astonishing Flow Of Time
   (from U.S.A 2019)

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       1.Give/2.Astonishing Flow Of Time
      /3.The Happening/4.The Evil Cocoon
      /5.Lullaby/6.Treehouse/7.Victory
      /8.Packed Away Dolls/9.Mare Crisium
      /10.The Dream Chant

 アメリカはショービズの本場ニュー・ヨークから突如彗星の如くまた新たなる期待の才能が現れた。
 リーダー兼ヴォーカリストでもあり全曲を手掛けるコンポーザーでもあるAdam Colomboなるフロントマンを筆頭に今年めでたくデヴューを飾った、何とも不思議な韻とフレーズをも含んだバンドネーミングのキャロー・キャレイには要注目であろう。
 彼等もまたかつての幾数多ものアメリカン・プログレッシヴバンド達と同様、イエスやジェネシスからの大いなる影響を物語っており、更には同国のカンサス始めスティックス、スター・キャッスル、果ては近年のスポックス・ビアードやエコリンといった正統派アメリカン・シンフォニックの系譜と流れを汲む次世代の担い手となるであろう。
画像 兎にも角にも最初から最後まで徹頭徹尾に繰り広げられるファンタスティックなシンフォニック・ワールドに、リスナー諸氏はきっと度肝を抜かされ舌をも巻く事であろう。
 ファンタジックなアートワークの紙ジャケット仕様というセルフリリースながらも、演奏技量から曲構成並び録音に至るまでポッと出の素人臭さというかアマチュアイズムが微塵にも感じられず、メンバー全員が一朝一夕では成し得ない位に完全プロフェッショナル・シップな仕事っぷりに徹しており、全曲とも大作主義を掲げながらも良い意味でアメリカンらしいキャッチーなメロディーラインに加え、いともスムーズにさらりと演ってしまうといった心憎さやら、70年代ヴィンテージの感触と昨今の21世紀プログレッシヴとの最良のエッセンスがハイブリッドに融合した、多くのプログレッシヴリスナー諸氏誰しもが溜飲を下げるであろう、ここにまた未知数なる大器到来の予感すら窺わせる。
 アメリカン・プログレッシヴ…昔も今も然る事ながら、掘り下げればまだまだ奥深くてとんでもない逸材がもっと世に出てきそうな、そんな密やかな期待感と楽しみが増えそうだ。
                 

Web http://www.CalloohCallayMusic.com 
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