Monthly Prog Notes

 2月最後の「Monthly Prog Notes」をお届けします。
 今回はベテラン勢から期待のニューカマーが一挙揃い踏みとなった豪華ラインナップとなりました。
 ウクライナから2年ぶりにして、記念すべき通算第10作目のリリースとなった“カルファゲン”が久々の登場です。
 ホグワッシュ、そしてサンチャイルドと多岐に亘るシンフォニック・プロジェクトを立ち上げつつ、ライフワークでもあり本隊ともいえるカルファゲンのリーダー兼マエストロでもあるアントニー・カルギンが、長年創造し構築してきた荘厳にして爽快なるファンタジックなシンフォニックワールドがここに極まれりといった感の、まさしくプログレッシヴ&シンフォニックファン垂涎にして必聴必至の最高傑作に仕上がってます。
 日本からは関東圏のプログレッシヴ・ジャズロックに於いてTEEと共に21世紀の旗手としての風格すら感じさせる“LU7(エルユーセブン)”、実に5年ぶりとなる新譜5thがお目見えです。
 都会的なハイセンスと日本人ならではの情緒とリリシズムが顕著に表れた、様々な表情と側面すら垣間見せる変幻自在でじっくりと聴かせる実力派ならではの音世界が堪能出来るでしょう。
 久々のポーランドからは今後の動向が大いに注目されるニューカマーとして更なる期待が寄せられるであろう“ピン・ドロップ”の昨年リリースされたデヴュー作が到着しました。
 今までのポーランド・シンフォニックにありがちな陰影を帯びた雰囲気とは真逆な、マリリオンやIQ、果てはイエスやラッシュからの大きな影響を窺わせる、あたかも世界的な視野をも見据えた躍動感溢れる力強いサウンドはポーランド新たな次世代登場をも告げるエポックメイキングな趣すら感じさせます。
 春間近な兆しすら思わせる…そんな時節柄に相応しい麗らかで穏やかな弥生の空の下、春告げ鳥の歌声の如く謳い奏でるマエストロ達の饗宴に、暫し日常の喧騒を忘れて身を委ねてみて下さい。

1.KARFAGEN/Echoes From Within Dragon Island
   (from UKRAINE 2019)

画像   1. Dragon Island Suite 1
     a)To the Fairy Land Afar/b)Through the Magical Forest
    /c)Little Thoughtful Creatures
   2. Dragon Island Suite 2
     a)Shady Fairies/b)All the Names I Know/c)Picture Story-books
    /d)Where All the Playthings Come Alive
   3. My Bed is a Boat (2:44)
   4. Dragon Island Suite 3 (16:32)
     a)Sailor's Coat/b)Valley of the Kings

 幼少期或いは小学校低学年の頃に目にした童話の絵本を思わせる様な装丁の、実にファンタスティックなシンフォニックの好作品が私達の前に届けられた。
 今やイタリアのファビオ・ズファンティやスウェーデンのロイネ・ストルトと肩を並べる位のシンフォニック・ロックの名匠・巨匠ともいえるべき風格と貫禄がすっかり板に付いた感すら抱かせるであろう、ウクライナのアントニー・カルギンを筆頭とするカルファゲンの2年ぶり通算10作目は、イギリスの作家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの詩を元にした、徹頭徹尾ファンタジーの結晶の如きコンセプト作に仕上がっており、メンバー並びバンドメイトを含めて実に15人以上もの大所帯で臨んだ、イエスやジェネシス、キャメル、果ては初期のアニマ・ムンディにも匹敵する楽曲、歌詞、アートワーク、コンポーズ能力等のクオリティー総じて、筆舌し難い位に素晴らしき最高傑作たる極みに達していると言っても過言ではあるまい。画像
 収録されている全曲共に開放的な明るさと爽快感を伴ったまさしく天空を駆け巡るかの様な曲展開に加え、ハートウォーミングなヴォーカルにコーラスパートとが相まって、夢物語さながらの幻想絵巻が聴く者の脳裏に鮮烈且つ色鮮やかに投影される事だろう。
 陳腐に思われる輩もいるかもしれないが、本作品に接してみてプログレッシヴ・ロックとはやはりファンタジックなシチュエーションが必要不可欠であると思えてならない。
 プログレッシヴそしてシンフォニック・ロックを創作するとはこういう事であると改めて気付かせてくれた、久しく忘れかけていた感動すら呼び起こす、まさしく束の間の夢想が存分に堪能出来る入魂の一枚であると言えよう。
 初回限定のボーナスディスク付2枚組仕様で未収録曲やテイク違いのナンバーも聴き処満載な、春の訪れの時節柄にも似つかわしいそんな喜びすらも禁じ得ない。
                 

Web http://karfagenmusic.com/en 
    https://www.facebook.com/Karfagen-310288492361822/


2.LU7/3395
   (from JAPAN 2019)

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    1.白雨/2.Passing The Air Gates/3.迷いの森と星の果てと
   /4.Interlude #1 (Prayer)/5.3395/6.夕暮れに咲く
   /7.Interlude #2 (I'm A Badger)/8.チドリたちの祭りへの序章
   /9.Decade

 昨年リリースされた名作2nd『L'esprit De L'exil』のリマスター&リミックスを経て、実質上は前作の『Azurite Dance』から実に5年ぶりの新録音でもあり、意味深なタイトルに加えて…まあ、好みの差がはっきりと分かれそうなアートワークに包まれたLU7 (エルユーセブン)の新譜5th。
 ここ数年アートワークがややザバダック化しているような感こそ否めないが、曲想や作風は明らかに紛れも無く同じ関東圏のケンソーやTEEと並んでプログレッシヴ・ジャズロックの先鋭としてのポジションが更に確立されたであろう、画像あたかも商業路線を意識したかの様な意匠とは裏腹に研ぎ澄まされた感性と秀逸さがますます際立った、実に変幻自在にして多種多才なる音楽性が思う存分縦横無尽に繰り広げられた好作品に仕上がっている。
 都会的なハイセンスさと日本人らしい情緒溢れるリリシズムとが隣り合った絶妙なバランスがバンドとしての持ち味と身上を物語っており、甘く切ない詩情とペシミズムにも似た現世への遊離感をも彷彿させる4曲目と6曲目、あたかもEL&Pがファンキーになった感すら窺わせる8曲目の面白さといい、リスナー諸氏に一曲々々毎の様々な異なった世界観とイマジネーションを想起させる巧妙で且つ豪胆な仕事っぷりには脱帽せざるを得ない。
 トータルの収録時間がやや短いのが物足りなくて惜しまれるところだが、それを踏まえて次回は長尺な大作主義にアートワークでも是非勝負して欲しいと願わんばかりである。
                 

Web http://lu7.biz 
    https://www.facebook.com/lu7japan/?epa=SEARCH_BOX


3.PINN DROPP/Perfectly Flawed
   (from POLAND 2018)

画像    1.Significant Someone/2.Unresolved/3.Kingdom Of Silence
   /4.Cyclothymia/5.Fluorescent Dreamscape - Part One
   /6.Perfectly Flawed
     ⅰ- Illusion/Confusion
     ⅱ- Almost Free
     ⅲ- Victim Of Imagination
     ⅳ- Disintegrate
     ⅴ- Words Without Meaning
   /7.Fluorescent Dreamscape - Part Two

 ポーランドは首都ワルシャワから久々に手応え感のある骨太で芯のある期待の新星が登場した。
 自身のサイトからデジタル配信のダウンロード形式で何曲かシングルリリースを経て、昨年漸くめでたく待望のフルレングスのデヴューCDに当たる本作品をリリースした4人組ピン・ドロップは、今までのポーランド・シンフォニックやメロディック・ロックに結構ありがちな、お国柄を反映したかの様な陰影を帯びて深く沈み込むかの様な…ややもすれば画像ポストロックな雰囲気をも湛えた退屈感極まりない淡々とした重過ぎる作風とは一線を画した、ワールドワイドなヴィジョンを見据えメリハリの効いた起伏と躍動感を持たせた作風で全く飽きを感じさせない、まさしくフロイド、イエス、ジェネシス、ラッシュ、マリリオン、IQ、スポックス・ビアード…etc、etcから多大なる影響を受けた、プログレッシヴ・ロックの持つダイナミズムと伝統、そして王道復古を堂々と掲げた真摯で潔い姿勢に心から拍手喝采を贈らんばかりである。
 デジタルキーボードながらもハモンドやメロトロン、ブラスパートが重厚に奏でられ、ヘヴィ&メロディックで尚且つエモーショナルな泣きのメロディーラインを聴かせるギター、強固でコンビネーション抜群なリズム隊が織り成す、ミスティックなアートワークのイメージと違わぬ幽玄さに加え力強さがコンバインしたサウンドワークながらも時代感相応のスタイリッシュさと語法で謳う彼等のこれからの前途を祈りつつ、今後の動向と進むべき道に私達は注視せねばなるまい。
                 

Web https://pinndropp.bandcamp.com 
    https://www.facebook.com/PinnDroppOfficial/?epa=SEARCH_BOX

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