一生逸品 THE GROUP

 2018年もいよいよ終盤に差しかかり、日に々々年の瀬の慌しさが感じられる様になった今日この頃ですが皆様如何お過ごしでしょうか…。
 来たるべき新たな年…そして来春には新たなる元号が巡ってくる2019年ではありますが、感慨深さを肌で感じると共に、巡ってくる新たな一年に際し心身の引き締まる思いながらも、『幻想神秘音楽館』12年目に突入という意義を改めて噛みしめながら、来年も変わる事無く地道且つ堅実に我が道を邁進し、プログレッシヴ・ライフを心から謳歌しつつ自らの言葉で綴りながら次なる一年も歩み続けていきたい所存です。
 
 2018年、今年最後の「一生逸品」を飾るのはサンタクロース生誕の地でもあるフィンランドより、自国のロックシーンを長きに亘り彩ってきた名うてのヴェテラン・プレイヤーの猛者達が集結した、北欧プログレッシヴ・ジャズロックの頂点にして至高の極みすら窺わせる、70年代後期のスカンジナビアン・ムーヴメントを飾る名作・名盤として誉れ高い、神髄にして真髄の唯一無比なる存在と言えるであろう“ザ・グループ”に、2018年の締め括りという意味合いを込めて今一度栄光のスポットライトを当ててみたいと思います

THE GROUP/Same(1978)

画像
       1.Thai
       2.Ripple Marks
       3.Berenice's Hair
       4.Gado Gado
       5.Annapurna



 今年最後の「一生逸品」…毎年の暮れになると思う事だが、一年を締め括るに相応しい“一枚もの”を選ぶとなると、これがなかなか至難の業であるというか、悩ましくもあり愉しいものでもあるのだが(苦笑)。

 …という事で そんな2018年の今年最後の「一生逸品」を飾るのは、短絡思考的というか極々単純明快とでもいうか、12月=クリスマス=サンタクロース生誕の地でもあるフィンランドの一枚ものからセレクトして一年を締め括りたいと思い、いろいろとフィンランドの一生逸品な一枚ものからセレクトしてみようと思い立ったものの、大御所クラスのウィグワム始めタサヴァラン・プレジデンティ、ハイカラ、フィンフォレスト、果てはタブラ・ラーサといった割と名の知れた存在はユーロロックファンの間ではポピュラーな部類で流通しているものの、一枚こっきり出して解散ないし停止したバンドともなると極々最近の発掘物を含めて些か複雑怪奇な様相だから、前述の言葉通り一枚ものを選ぶというのは兎にも角にも至難な業というのが正直なところである。
 ニムバスを始めノヴァ、ファンタジア、カーモス、セッション、そしてスカパ・フロウ…概ねこの辺りがフィンランド一枚ものの秀作といった手合いであるが、考えあぐねた結果今年を締め括るという意味合いを含め、以前から「一生逸品」で是非取り挙げねばと絶好の機会を窺っていた…ウィグワムを抜けた国民的音楽家Pekka Pohjola、そしてタサヴァラン・プレジデンティを経て一時期かのメイド・イン・スウェーデンにてドラマーを担当しフィンランドに帰国したばかりのVesa Aaltonenによって結成され、たった一枚の唯一作をリリースし解散した後にPekka Pohjola BANDへと発展形を遂げる礎ともなった通称グループことザ・グループに白羽の矢を当てた次第である。
 ウィグワム在籍時と併行してソロマテリアル『Pihkasilma Kaarnakorva』、そして『Harakka Bialoipokku』をリリースして以降、73年にウィグワムの4作目にして最高傑作『Being』を最後にバンドを抜けたPekka自身、最高作でもある『Keesojen Lehto』をリリースする一方で、ジャズロック・プロジェクトのUNI SONOで共演したキーボーダーOlli Ahvenlahtiを誘い、最後に選出したメンバーとしてPekka自身旧知の間柄で後にPekka Pohjola BANDのギタリストを務める事となるSeppo Tyniによる基本的な4人編成によるラインナップでスタートを切る事となる。画像



        Olli Ahvenlahti:Key
        Pekka Pohjola:B
        Seppo Tyni:G
        Vesa Aaltonen:Ds


 フィンランドを代表する名うての強者プレイヤー達が集結した…ある意味かの英国のUK(まあ…後のエイジアも然り)を意識したかの如く、フィンランド国内の音楽プレス誌始め各方面のメディアはこぞって、名実共にスーパーバンドが誕生したと銘打って、ザ・グループに寄せる未知なる期待のみならず当時世界中を席巻していたプログレッシヴ・ムーヴメント停滞という負の連鎖を打破してくれる大きな原動力に繋げたい一心で、彼等を称賛し大々的な支援へと持ち上げたのは言うには及ぶまい。
 余談ながらもザ・グループというバンドネーミングにまつわる、虚々実々というか真偽の程は定かではないものの、当初はPekkaを始めとするバンドメンバー4人の連名のみでリリースするか、或いはそもそも音楽を創作するチームにバンドネーミングって必要なのか?と芸術家肌なPekkaらしいごもっともな意見と疑問から名前無しバンドのままリリースしようという半ば悪い冗談めいた案すら提示されたものの、リリースサイド大許でもあるワーナー側がそれでは困るといった、まあそんなすったもんだの末…結局Pekkaサイドが折れて、半ばやっつけ仕事というかヤケクソ気味に極々単純明快にザ・グループと命名したそうだが…その真実は如何にといったところである(苦笑)。
 ジャケットアートも神秘な趣を湛えたピラミッドの頂点に輝く一筋の光明になりたいといった意味合いすら感じられるものの、一見するとジャーマン・エクスペリメンタル的にも見えるし、アメリカのフリーメイソンのシンボルっぽく見まがいそうな変な誤解感を与えてしまいかねない…出来る事ならジャケットの意匠はもうひと工夫欲しかったと思えてならないのは私を含めた聴き手側の我が儘なのであろうか。

 本作品のサウンド全体としては、かつてのウィグワムないしタサヴァラン直系のプログレッシヴ・ジャズロックなフィーリングが根幹にあるのも然り、彼等が敬愛して止まないリターン・トゥ・フォーエバー、そしてウェザー・リポートといったクロスオーヴァーサウンドに追随するかの様なワールドワイドな視野をも見据えた…軽快で疾走感に溢れ、ECMにも相通ずる北欧ならではのイマジンとリリシズムが脳裏をよぎるといった、プログレッシヴ下火ともいわれた当時に於いて時代相応の表現と語法を身に付けたモダンなジャズ・ロックと捉えた方が差し支えあるまい。
 所謂、当時で言われ始めた“フュージョン”系の部類ではあるが、商業路線に走りファッショナブルなムードミュージックへと地に堕ちた連中とは違い、彼等4人の音楽世界はあくまでプログレッシヴな方法論を守り続けたジャズ・ロック/クロスオーヴァーへと昇華していった事に他ならない。

 実力全開でオープニングを飾る冒頭1曲目から彼等の面目躍如たる片鱗が垣間見え、軽快でスピード感満載なけたたましく強打されるドラミングに導かれ、ザ・グループの華々しいショータイムは幕を開ける。
 タイトル通りの東洋的なオリエンティッドな空気と人々の雑多な息づかいすら感じられ、押しと引きのバランスといった緩急自在な曲構成と展開に圧巻・圧倒されると共に、当時そんじょそこらのポッと出の一介のフュージョン・バンドなんぞとは比べものにならない位の高水準なハイテンションとテクニカルさに、聴き手はあたかも先制のカウンターパンチに見舞われ溜飲の下がる思いに捉われる事必至であろう。
 Olli奏でる詩情溢れるピアノの響きが印象的なイントロダクションの2曲目も素晴らしく、ジャズィーな趣を湛えながらもやはり時折ロックなスピリッツすら垣間見せ、スローテンポでメロウな雰囲気を醸し出しながらもアーバンな佇まいや北欧のナチュラルな映像美すらも想起させる本作品中ラスト曲と並ぶ聴き処満載な好ナンバーと言えよう。
 Pekka のベースプレイも然る事ながら追随するかの様なSeppoの泣きのギターが実に冴えまくっている。
                 
 いきなり唐突に炸裂するサウンドの拡がりにややアメリカンな趣すら感じさせる3曲目は、一見ミスマッチを思わせる様な意外性を孕みながらもやはり要所々々で北欧のリリシズムというスパイスの効いた、ハートウォームでどこか人懐っこく、良い意味で陽気なファンキーさが隠し味になっていて、改めてPekkaとOlliの音楽嗜好の懐の幅広さとコンポーズ能力の高さには感服する思いですらある。
 ある種の緊迫感すら伝わって来る4曲目にあっては、エッジの利いたバリバリ変拍子全開な硬派で骨太なこれぞ北欧ジャズロックの真髄たるものが存分に堪能出来る、オープニング1曲目と双璧を為す出来栄えを誇っている。
 収録された全曲中、長尺なラストナンバーの大曲ともなると、もはやジャズロックだのクロスオーヴァー云々だのすらをも超越した、まさしく70年代北欧プログレッシヴ&ジャズロックの完成形にして頂点ともいうべき集大成さながらに、タイトル通りのネパールの山々の頂或いは神々の懐に抱かれ身を委ねるかの如き、聴き手の意識と感情は異国の山脈と紺碧の天空へ飛翔すると言っても過言ではあるまい…。
                                  
 スタッフを含め周囲からの期待を一身に受け、鳴り物入りで堂々たるデヴューを飾ったザ・グループであったが、プログレッシヴ・ロックなのか?フュージョンなのか?といった賛否やら物議を巻き起こしながらも、ウィグワム時代からの古いファンからはそっぽを向かれ、流行に敏感な新たなファンからは賞賛で迎えられるといった両極端な塩梅ではあったが、セールス面は上々の成果でリリース直後のフィンランド国内ツアーでは拍手と喝采を浴び、次回作への構想やら新曲の準備も併行して進められていたものの、聴衆や周囲のスタッフからの期待を余所にバンド自体は思惑とは裏腹にキーボーダーのOlliが精神的な疲弊に悩まされ、輪をかけるかの様にバンドを逼迫する財政難が彼等を追い詰め、結果的にOlli Ahvenlahtiが惜しまれつつバンドを去る事となり、残されたPekka始めSeppo、Vesaの3名はザ・グループ名義での活動並びマテリアルの一切を放棄し、Pekka主導の許で心機一転Pekka Pohjola BANDにシフトして生まれ変わり再スタートを切る事となる。

 その後のPekkaの活動にあっては御周知の通り、ベーシストのみならずマルチプレイヤーへと転向し…ロック、ジャズ、ニューエイジへとジャンルの垣根を越えた多岐に亘る創作活動でm本領発揮とばかりに自ずと才気を発揮し(かつてのチームメイトSeppo並びVesa両名の出入りの変動こそあったものの)、『Visitation』始め『Urban Tango』、『Everyman』、『Space Waltz』そして『Changing Waters』といった屈指の傑作と名曲を多数を連発し、迎えた1995年にはフィンランド大使館賛助・協賛による最初で最後の初来日公演を行い大成功を収め(当時マーキー誌のインタヴューで、『Keesojen Lehto』のレコーディング中ゲスト参加したマイク・オールドフィールドと大喧嘩して以降、犬猿の仲になってしまい“なんだ、アイツまだしぶとく生きてんのかよ!”といった悪態を突いてスタッフを凍りつかせたのは有名な話)、その後に於いても97年の『Pewit』、画像そして2001年の(最後の遺作となった)『Views』リリース後の翌2002年突如のPekka急逝の悲報が全世界中を駆け巡り、彼の栄光と伝説…そして音楽世界と創作の大海への長い旅巡りはこうして静かに幕を下ろす事となる…。
 
 Pekka逝去から早16年、彼の遺した大いなる音楽遺産の素晴らしさは今もなお時代と世紀を越えて語り継がれ、今やフィンランド音楽界の偉人として讃えられている昨今、ウィグワム時代での名演含めソロアーティスト&バンドプロジェクト名義が殆どリイシューCD化され、肝心要のザ・グループにあっては2017年に漸くリイシュー化され陽の目を見るといった吉報が届いたのは記憶に新しいところであろう。
 ボーナストラックが収録されたCD2枚組仕様となっており、次回作の為に収録されたであろうシベリウス・アカデミーオーケストラとの共演による未発表曲が収められた、改めてPekkaファン垂涎のマストアイテムであると言っても異論はあるまい。
 当時、時流の動向が好転に向かっていれば、ザ・グループとてまだまだ大いなる可能性と飛躍が見込まれていたと思うのだが、今となっては天に召されたPekkaと神のみぞ知るといったところであろうか…。

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