Monthly Prog Notes
8月も終盤に差しかかり、すっかり辺り一面晩夏の様相が窺い知れると共に初秋の訪れすら感じられる様になりました。
猛酷暑に台風といった激しくも不安定だった気候と空模様が印象的だった今夏も終焉を迎え、いよいよ本格的に芸術の秋=プログレッシヴの秋が訪れつつあるそんな感すら覚えます。
夏から秋へと季節が移り変わる…今回の「Monthly Prog Notes」はそんな時節柄に相応しく、大英帝国が誇る栄光のブリティッシュ・プログレッシヴロックから、70年代レジェンドの“イングランド”そして“グリフォン”という2バンド共に実に41年ぶりとなる奇跡と栄冠の新譜、そして前述のレジェンド達に追随するかの様に70年代イズムのブリティッシュ・プログレッシヴの伝統と作風を継承すべく、カンタベリー影響下を物語りつつもはや21世紀ネオプログレといった概念すらも凌駕し覆すであろう驚愕のニューカマー“ケンティッシュ・スパイラス”の衝撃的なデヴュー作にも大注目です。
夏の終わりに惜別の念を抱きつつ、深まる秋への想望に天空を見上げながら、巡って来る季節へのファンファーレにも似た楽師達の交響詩篇に暫し耳を傾けて下さい。
1.ENGLAND/Box Of Circles
(from U.K 2018)

1.Carmina Burana/2.Destiny/3.Hymn
/4.Masters Of War/5.God Must Be A Boogieman
/6.Timelessness/7.Fags, Booze & Lottery
/8.It Couldn't Be You/9.Wheel Of Fortune
/10.Fine Alley
いやはや…兎にも角にも待ちに待たされた末、漸く満を持しての形で実に41年ぶりの新譜リリースが陽の目を見る事となった、70年代後期ブリティッシュ・プログレッシヴの生ける伝説的存在として、21世紀の今日まで長きに亘り名声を欲しいままにしてきたイングランド。
12年前の再結成並び初来日公演以降、公式なスタジオ録音作品としては77年の『Garden Shed』に次ぐ新譜となる2ndの本作品を引っ提げて、今こうして再び我々の目の前に帰って来た次第であるが、本作品の礎となった2010年限定リリースの4曲入りデモCD‐R、そして2014年のRobert Webbのソロ作品を経て、
肝心要のイングランド本隊の新作情報がなかなか伝わって来ず、焦らされ気を揉まされ最悪新譜の話は立ち消えになったのかと思い半ば諦めの胸中だったが故の突然の吉報に、私を含めリスナー諸氏も感慨深く喜びもひとしおといったところであろう。
『Garden Shed』期のオリジナルメンバー始め来日公演時のメンバーがRobertの鶴のひと声の下に再び結集し、まさしくイングランド・オールスターズ的な大所帯による、ブリティッシュ・ロックの王道に沿ったシンフォニックで程良くポップスな風合いを加味した、極上にして親近感溢れる21世紀スタイルなイングランド・ミュージックが御堪能出来るであろう。
英国ならではのウィットとユーモアに富んだエロティックな意匠も含め、カルミナ・ブラーナのロック・シンフォな解釈版に加え、クリムゾンの“21世紀”のフレーズまで飛び出す御愛嬌といった余裕すらも感じさせ、Robertの卓越したキーボードワークに彼を支えるバンドメイトの好演、男女混声コーラス…etc、etc大盤振る舞いで贅沢でゴージャスな至高の一枚、老若男女問わず全てのプログレッシヴ世代の方々へ夢見心地なひと時がお約束出来る2018年最高の贈り物となることだろう。
Web https://www.reverbnation.com/gardenshedmusic
https://www.facebook.com/England-Progressive-Music-Group-132476486788520/
2.GRYPHON/Reinvention
(from U.K 2018)

1.Pipe Up Downsland Derry Dell Danko/2.Rhubarb Crumhorn
/3.A Futuristic Auntyquarian/4.Haddocks' Eyes
/5.Hampton Caught/6.Hospitality At A Price... Anyone For?
/7.Dumbe Dum Chit/8.Bathsheba/9.Sailor V/10.Ashes
/11.The Euphrates Connection/12.New Dances (Bonustrack)
先のイングランドに呼応し歩調を合わせるかの様に、大英帝国の森の吟遊詩人グリフォンも、実に41年ぶりの通算第6作目に当たる新譜リリースと相成った。
トランスアトランティック時代の4作品、ハーヴェスト時代の5thを最後に一時的ながらも活動にピリオドを打ち、98年と2002年にリリースされた未発アーカイヴライヴを契機に気運を得た彼等は再結成を果たし、翌03年に再結成したメンバーによるライヴをリリース以降、牛歩的ながらも数々のライヴツアーと併行し地道なペースで新譜リリースに向け準備を着々と進め今回の新作までに至った次第であるが、
兎にも角にも良い意味でトランスアトランティック時代の頃に逆行しているかの如く…時代と世紀を超越しまるで何事も無かったかの様に自由にのびのびと従来のグリフォンサウンドが楽しく謳い奏でられているという様相に新鮮な驚きを禁じ得ない。
バンドのブレーンにして要でもあったBrian Gullandを筆頭に、David Oberlé、Graeme Taylorという70年代グリフォンのメンバーに、21世紀以降グリフォンを信奉する新たなキーボード兼ヴァイオリン、ベース、木管楽器の3人のメンバーを加えた布陣で臨んだ、伝統にして正統派のブリティッシュ・トラディショナル&プログレッシヴの再興と復古のみならず、昨今の若手新進気鋭にはまだまだ負けないと言わんばかりなプライドと底力、渋みというか凄まじさが垣間見られ、これぞまさしく正真正銘タイトル通りの“再確立”に他ならないと言っても過言ではあるまい。
バンドのもう一人の要でもあったRichard Harveyの不参加こそ残念であるが、それらを補い埋めるべく円熟味溢れる彼等の演奏技量と神憑り的なスキルの高さには、もはや驚愕を通り越して感動以外の何物でもあるまい。
マーキー/ベル・アンティーク盤のみの特典でライヴ収録されたボーナストラックも聴き処である。
Web http://www.thegryphonpages.com/
https://www.facebook.com/newgryphon/
3.THE KENTISH SPIRES/The Last Harvest
(from U.K 2018)

1.Kingdom Of Kent/2.Spirit Of The Skies/3.TTWIG
/4.Introception/5.Hengist Ridge/6.Clarity
/7.The Last Harvest
先に挙げたブリティッシュ・プログレッシヴレジェンドの2バンドに追随するかの如く、21世紀の若手新進気鋭からも大英帝国伝統の古色蒼然とした翳りと憂いを帯びた正統派なる新たな継承者がまたここに一つデヴューを飾る事となった。
ケンティッシュ・スパイラスと名乗る、ヴァイオリンも兼任する女性Voを擁する5人編成で、バンドリーダー兼プロデュースも務めるギター&ドラム、サックス始めフルート、クラリネット、リコーダーと多岐に亘る管楽器奏者、ベース、キーボードという変則的なラインナップで、自らをカンタベリーから多大なる影響を受けたプログバンドと公言しているだけに、
キャラヴァン、ソフト・マシーン、マッチング・モウル、果てはフロイド影響下の70年代ブリティッシュカラーに彩られたヴィンテージサウンドが徹頭徹尾縦横無尽に繰り広げられる様は、昨今の主流といった感の21世紀ネオプログレとかメロディック・ロックといった概念やら時代逆行云々すらも遥かに霞んでしまう位に圧巻で筆舌し難い、これはもう久々に大事件にも匹敵するニューカマーの登場に、正直我ながら胸が熱くなり心躍らんばかりといった感は隠せない。
ロマンティシズムを帯びた耽美的なアートワーク含め、冒頭1曲目の中盤部にかけてフロイドの“The Great Gig In The Sky”をも彷彿とさせる様な歌いっぷりを誇る女性Voの半端無い歌唱力も然る事ながら、ハモンドにフェンダーローズ、70年代イズムを湛えたギターや管楽器系の残響には聴けば聴くほど落涙必至であたかも眼から鱗が落ちる思いですらある。
ネタバレみたいで恐縮ながらも2018年の最優秀新人賞候補の内の一バンドは、もう彼等に決まりであると断言出来よう。
Web https://www.facebook.com/TheKentishSpires/
猛酷暑に台風といった激しくも不安定だった気候と空模様が印象的だった今夏も終焉を迎え、いよいよ本格的に芸術の秋=プログレッシヴの秋が訪れつつあるそんな感すら覚えます。
夏から秋へと季節が移り変わる…今回の「Monthly Prog Notes」はそんな時節柄に相応しく、大英帝国が誇る栄光のブリティッシュ・プログレッシヴロックから、70年代レジェンドの“イングランド”そして“グリフォン”という2バンド共に実に41年ぶりとなる奇跡と栄冠の新譜、そして前述のレジェンド達に追随するかの様に70年代イズムのブリティッシュ・プログレッシヴの伝統と作風を継承すべく、カンタベリー影響下を物語りつつもはや21世紀ネオプログレといった概念すらも凌駕し覆すであろう驚愕のニューカマー“ケンティッシュ・スパイラス”の衝撃的なデヴュー作にも大注目です。
夏の終わりに惜別の念を抱きつつ、深まる秋への想望に天空を見上げながら、巡って来る季節へのファンファーレにも似た楽師達の交響詩篇に暫し耳を傾けて下さい。
1.ENGLAND/Box Of Circles
(from U.K 2018)

1.Carmina Burana/2.Destiny/3.Hymn
/4.Masters Of War/5.God Must Be A Boogieman
/6.Timelessness/7.Fags, Booze & Lottery
/8.It Couldn't Be You/9.Wheel Of Fortune
/10.Fine Alley
いやはや…兎にも角にも待ちに待たされた末、漸く満を持しての形で実に41年ぶりの新譜リリースが陽の目を見る事となった、70年代後期ブリティッシュ・プログレッシヴの生ける伝説的存在として、21世紀の今日まで長きに亘り名声を欲しいままにしてきたイングランド。
12年前の再結成並び初来日公演以降、公式なスタジオ録音作品としては77年の『Garden Shed』に次ぐ新譜となる2ndの本作品を引っ提げて、今こうして再び我々の目の前に帰って来た次第であるが、本作品の礎となった2010年限定リリースの4曲入りデモCD‐R、そして2014年のRobert Webbのソロ作品を経て、

『Garden Shed』期のオリジナルメンバー始め来日公演時のメンバーがRobertの鶴のひと声の下に再び結集し、まさしくイングランド・オールスターズ的な大所帯による、ブリティッシュ・ロックの王道に沿ったシンフォニックで程良くポップスな風合いを加味した、極上にして親近感溢れる21世紀スタイルなイングランド・ミュージックが御堪能出来るであろう。
英国ならではのウィットとユーモアに富んだエロティックな意匠も含め、カルミナ・ブラーナのロック・シンフォな解釈版に加え、クリムゾンの“21世紀”のフレーズまで飛び出す御愛嬌といった余裕すらも感じさせ、Robertの卓越したキーボードワークに彼を支えるバンドメイトの好演、男女混声コーラス…etc、etc大盤振る舞いで贅沢でゴージャスな至高の一枚、老若男女問わず全てのプログレッシヴ世代の方々へ夢見心地なひと時がお約束出来る2018年最高の贈り物となることだろう。
Web https://www.reverbnation.com/gardenshedmusic
https://www.facebook.com/England-Progressive-Music-Group-132476486788520/
2.GRYPHON/Reinvention
(from U.K 2018)

1.Pipe Up Downsland Derry Dell Danko/2.Rhubarb Crumhorn
/3.A Futuristic Auntyquarian/4.Haddocks' Eyes
/5.Hampton Caught/6.Hospitality At A Price... Anyone For?
/7.Dumbe Dum Chit/8.Bathsheba/9.Sailor V/10.Ashes
/11.The Euphrates Connection/12.New Dances (Bonustrack)
先のイングランドに呼応し歩調を合わせるかの様に、大英帝国の森の吟遊詩人グリフォンも、実に41年ぶりの通算第6作目に当たる新譜リリースと相成った。
トランスアトランティック時代の4作品、ハーヴェスト時代の5thを最後に一時的ながらも活動にピリオドを打ち、98年と2002年にリリースされた未発アーカイヴライヴを契機に気運を得た彼等は再結成を果たし、翌03年に再結成したメンバーによるライヴをリリース以降、牛歩的ながらも数々のライヴツアーと併行し地道なペースで新譜リリースに向け準備を着々と進め今回の新作までに至った次第であるが、

バンドのブレーンにして要でもあったBrian Gullandを筆頭に、David Oberlé、Graeme Taylorという70年代グリフォンのメンバーに、21世紀以降グリフォンを信奉する新たなキーボード兼ヴァイオリン、ベース、木管楽器の3人のメンバーを加えた布陣で臨んだ、伝統にして正統派のブリティッシュ・トラディショナル&プログレッシヴの再興と復古のみならず、昨今の若手新進気鋭にはまだまだ負けないと言わんばかりなプライドと底力、渋みというか凄まじさが垣間見られ、これぞまさしく正真正銘タイトル通りの“再確立”に他ならないと言っても過言ではあるまい。
バンドのもう一人の要でもあったRichard Harveyの不参加こそ残念であるが、それらを補い埋めるべく円熟味溢れる彼等の演奏技量と神憑り的なスキルの高さには、もはや驚愕を通り越して感動以外の何物でもあるまい。
マーキー/ベル・アンティーク盤のみの特典でライヴ収録されたボーナストラックも聴き処である。
Web http://www.thegryphonpages.com/
https://www.facebook.com/newgryphon/
3.THE KENTISH SPIRES/The Last Harvest
(from U.K 2018)

1.Kingdom Of Kent/2.Spirit Of The Skies/3.TTWIG
/4.Introception/5.Hengist Ridge/6.Clarity
/7.The Last Harvest
先に挙げたブリティッシュ・プログレッシヴレジェンドの2バンドに追随するかの如く、21世紀の若手新進気鋭からも大英帝国伝統の古色蒼然とした翳りと憂いを帯びた正統派なる新たな継承者がまたここに一つデヴューを飾る事となった。
ケンティッシュ・スパイラスと名乗る、ヴァイオリンも兼任する女性Voを擁する5人編成で、バンドリーダー兼プロデュースも務めるギター&ドラム、サックス始めフルート、クラリネット、リコーダーと多岐に亘る管楽器奏者、ベース、キーボードという変則的なラインナップで、自らをカンタベリーから多大なる影響を受けたプログバンドと公言しているだけに、

ロマンティシズムを帯びた耽美的なアートワーク含め、冒頭1曲目の中盤部にかけてフロイドの“The Great Gig In The Sky”をも彷彿とさせる様な歌いっぷりを誇る女性Voの半端無い歌唱力も然る事ながら、ハモンドにフェンダーローズ、70年代イズムを湛えたギターや管楽器系の残響には聴けば聴くほど落涙必至であたかも眼から鱗が落ちる思いですらある。
ネタバレみたいで恐縮ながらも2018年の最優秀新人賞候補の内の一バンドは、もう彼等に決まりであると断言出来よう。
Web https://www.facebook.com/TheKentishSpires/
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