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help RSS Monthly Prog Notes -Special-

<<   作成日時 : 2011/07/31 05:08   >>

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画像 約4ヶ月振りの休載期間を経て「Monthly Prog Notes」の再開です。 
 何度も触れているように…東日本大震災の影響でブログ更新を暫く自粛休載しておりましたが、前後して私自身も心疾患で入院・療養期間を経て気持ちの上で漸く整理が付き、本ブログの再開までに至った次第であります。
 本来なら、先月の復帰再開宣言でも触れていた様に、今まで4ヶ月近くの間…心のリハビリを兼ねて聴き貯めてきた多数にも及ぶ新しい作品群を一挙に紹介し、今年度ベスト10選のノミネート前哨戦に近い形式で紹介していきたかったものの、仕事で転倒し右肩を打撲したものでPCを前にしてもなかなかキーを打つ事が出来ずに、結果…今月紹介する新譜関連を含め、まとめて月末掲載に移行した次第です。
 いろいろ聴き貯めてきた作品群の中から厳選に厳選を重ねて10枚の作品を選び、従来の「Monthly Prog Notes」のスタイルを若干変えて(ランキング形式云々を問わずに)、現時点に於ける10選を取り挙げました。
 年末の最終的なベスト10選を占う上でも目安になれれば幸いです。
 ※ アーティストのウェブサイトも掲載してありますが、サイトの有無が不明な場合は省略してます。どうか御了承願います。

画像★ YES/Fly From Here
   (from U.K. 2011)

 90年代の『トーク』以降、迷走と試行錯誤の続いていた感のあったイエスであるが、画像心機一転或いは起死回生の如くプロデューサーにトレヴァー・ホーン、Keyにジェフリー・ダウンズ、そしてジョンに代わる新たなヴォーカリストとしてカナダ人の若手ベノワ・デヴィッドを迎え、半ば名作『ドラマ』の頃の布陣で製作された、『こわれもの』『危機』そして『ドラマ』に匹敵する、最もイエスらしい気迫と緊張感が再び甦った会心の一作と言えよう。
 クリス、ハウ、アランといった往年組の素晴らしい演奏と仕事っぷりも然る事ながら、イエス・サウンドのツボを心得たジェフリーのキーボード・ワーク、そして何よりもジョン影響下ながらもトレヴァーの声域に近いベノワの歌唱力とハーモニーが互いに相乗効果を醸し出し、ロジャー・ディーンの幻想的なカヴァー・アートも手伝って、前々作の『ラダー』では食い足りなかった部分が本作品では見事に補填され、“嗚呼…これぞイエスの音世界”たるものが堂々と目の前に繰り広げられる様は、神々の饗宴の如く聴く者に息つく暇すら与えないだろう。
http://www.yesworld.com

画像★ ALTA VIA/Girt Dog
   (from ITALY 2011)

 イタリアの新鋭にして新世代シンフォの決定打的存在のアルタ・ヴィアのデヴュー作。
 英語の歌詞にIQやペンドラゴン、アリーナに影響触発された、所謂メロディック・シンフォの範疇に当て嵌まるインターナショナルな視野を踏まえた最右翼と言えよう。画像
 とは言いつつも、90年代の大半のイタリア物で感じられた無国籍な佇まいや作風とは趣を異にする、単なるメロディック・シンフォとは一線を画した独特の音色と雰囲気を纏った現代風シンフォの装いの中に、所々で垣間見せるイタリアらしさ…イタリアン・ロックの持つ詩情と抒情が損なわれていない、あたかもイタリアの夕暮れというムーディーな幻想美を想起させる意匠をそのまま音にしたかの様な唯一無比の音世界を展開している。
 21世紀型イタリアン・ロックのアイデンティティーを象徴する、良い意味でもう一つの顔にして新たな側面をも切り拓いた価値のある作品に位置付けられるだろう。早い話傑作です。

画像★ LA COSCIENZA DI ZENO/Same
   (from ITALY 2011)

 先のアルタ・ヴィアとは全く相対する、イタリアン・ロックの持つ伝統的な佇まいと一種邪悪なエナジーを継承したラ・コスシエンザ・ディ・ゼノのデヴュー作。
 彼等の作品を耳にしたイタリアン・ロックファンの大半が、ラ・マスケーラ・ディ・チェラ或いはイル・テンピオ・デッレ・クレッシドレといった21世紀版イタリアン・ヘヴィシンフォニックを初めて聴いた時と同じ衝撃を受けるであろう。画像
 紛れも無く彼等のサウンド・ルーツにはムゼオ、イルバレ、ビリエット、果てはメタモルフォッシ『Inferno』といった漆黒の闇と複雑怪奇に入り組んだ音の迷宮がオーヴァーラップしてくると言っても過言ではあるまい。
 バンコの初期3部作にも相通ずる流麗にして緻密且つ構築的なツインキーボードワークに、イタリア語の歌心と情感溢れるヴォーカル、へヴィなギターにリズム隊という正統派イタリアン・ロックの王道を地で行く真摯な姿勢に好感を覚えると共に今後の期待が高まりつつある。メロウレーベルから久々の快挙とも言うべき傑作と言えよう。
 こういう作品と出会える度に、長年プログレ・ファンで本当に良かったなぁと思えるのである。
http://www.myspace.com/lacoscienzadizeno

画像★ RANESTRANE/Shining
   (from ITALY 2011)

 70年代のゴブリン、そして90年代のデヴィル・ドールに追随するかの様に21世紀版ホラー系イタリアン・ロックの旗手となった感のラネストラーネ
 5年前にひっそりとリリースされたデヴュー作『Nosferatu Il Vampiro』が、2年前に突如発掘されその高水準で圧倒的な完成度と2枚組というヴォリューム+内容の濃さで瞬く間に評判と話題を呼び、決してワンオフ的な企画物系バンドで終止せず…リスナーとファンを裏切る事無く、満を持していよいよここに待望の2作目が届けられた。
 前作がヴェルナー・ヘルツォーク監督の『吸血鬼ノスフェラトゥ』からインスパイアされ、今回の新作ではかのスタンリー・キューブリック監督、主演ジャック・ニコルソンの『シャイニング』からインスパイアされた、閉ざされた暗黒の迷宮の如き地獄巡りにも似た緊迫感と得体の知れない恐怖と不安感が作品全体を支配している。
 要所々々に挿入される様々な効果音にドラマ仕立てのパート部分と、ミスティックで且つオカルティックなヘヴィ・シンフォニックとがせめぎ合いながら物語の結末へと進行する様は、一種ホラーゲームの名作『サイレント・ヒル』にも似通った陰鬱さと怪奇さを彷彿とさせる。
 プログレ・ファンのみならず、ゴシック・メタルやドゥーム・メタル系のファンにも是非とも聴いて頂きたい。今回の本作品も2枚組の大作です。
http://www.ranestrane.com

画像★ 月兎/Same
   (from JAPAN 2011)

 近年に於ける関東圏のプログレッシヴ・シーンに於いて、KBB、ファンタスマゴリア、水鏡、TEE、エンジェルス・ラダー、アーリー・クロス等と並び、その個性豊かな作風と圧倒的なライヴ・パフォーマンスと存在感でファンを魅了してきた月兎(つきうさぎ)画像
 様々な紆余曲折を経てリリースされた待望のデヴュー作は、往年の新月やフロマージュにも相通ずる日本的なイマージュと抒情性を湛えつつも、水鏡やわっぱがっぱとはひと味もふた味も違う独特の純粋な“日本のプログレ”を創作している。
 70年代から培われたジャパニーズ・ロック…或いは歌謡ロックの持つ良質でリリシズムな部分と、ブリティッシュ・ロックのエッセンスとダイナミズムとが見事に融合した、彼等でしか描けない心象風景と音世界がそこにはある。
 4曲目“追憶 Part2”のイントロ部分での蝉時雨と風鈴の音色なんか、改めて日本人で本当に良かったなぁとしみじみ思える。演奏の素晴らしさも然る事ながら、女性Voの麗奈さんの歌唱力とフルートが光っている。
http://tsuki-usagi.net

画像★ YESTERDAYS/Colours Cafe
   (from HUNGARY 2011)

 4年前のデヴューで世界中のプログレ・ファンから賞賛され話題を呼ぶと共に、画像聴く者の涙腺をも熱くする位の恋情にも似通った女性的な美意識と抒情性、詩情豊かな泣きの旋律で多くのリスナーをも虜にしたハンガリーとルーマニアの混成グループイエスタディズ
 2作目に当たる待望の本作品は、新たな女性Voを含めた若干のメンバーチェンジを経て、前作から打って変わってプログレッシヴでありつつも更にキャッチーさと良質なポップス・フィーリングを前面に押し出した、良い意味で垢抜けた好作品に仕上がっている。
 前作でも感じられたイエスとキャメルをリスペクトした自らのサウンド・スタイルは今作でも更に際立っており、バンドとしての自信と信念、身上(信条)に全く揺るぎが無い事を如実に物語っているかの様だ。
 60年代末期のヴィンテージなブリティッシュ・ロックのジャケットを想起させる様な意匠に好みが分かれるところだが、改めて思うにこれも彼等なりのロック・バンドであるという表明なのだろうか…。
 今作もメロトロンが縦横無尽に活躍し、東欧シンフォニックここに極まれりといったところである。傑作。
http://www.yesterdays.hu/colours.html

画像★ SANHEDRIN/Ever After
   (from ISRAEL 2011)

 突如として我々の前に届けられた驚愕の一枚。イスラエルから純粋なるプログレッシヴの申し子として世に降臨した期待の新星サンヘドリン
 本デヴュー作を出身国も明かさずに覆面テストで多くのプログレ・ファンに聴かせたら、少々意地悪ながらもイスラエル出身と果たして誰が気付くであろうか(苦笑)。
 それぐらい完全にユーロピアンナイズされた端整で且つ流麗、抒情的な泣きのフルートとリリカルなキーボードに、画像往年のキャメルやピュルサー、果てはルソー辺りを連想せざるを得ないと言われても仕方あるまい。
 そもそもフルート奏者がシェシェットやノー・ネームといったイスラエルのロック史に刻まれる名バンドを長年渡り歩いてきたShem-Tov Leviというから、当然一筋縄ではいかない。上手過ぎるのも然る事ながら凄過ぎるの一言に尽きる…。
 グリフォンやフォーカス、ミニマム・ヴィタルと堂々と渡り合える様な3曲目と4曲目の流れが特に素晴らしい。
 これを聴かずして2011年のプログレッシヴは語れまい。

画像★ QUORUM/Klubkin's Voyage
   (from RUSSIA 2011)

 大航海時代を描いた印象派の絵画を思わせる様な、実に味わい深い意匠が素晴らしいロシアの新進気鋭クウォーラムのデヴュー作。
 そのサウンドスタイルたるや、アルテミエフの一連の作品始め、ホリゾント、リトル・トラジディーズといった今までのロシアン・プログレで感じられた凍てつく広大な大地といったイメージとは全く180度かけ離れた、近年のグリシェンカールやロスト・ワールドに続く新世代らしい音作りを全面に打ち出している。
 彼等自身も影響を受けたと公言しているイエスをリスペクト・追随するかの如く、軽快で且つ明瞭なキャッチーさとポップスさ加減を十分踏まえ陽のイメージを纏った、先に取り挙げたハンガリーのイエスタディズにも匹敵する、近年のロシア産では類を見ない完成度を誇る素晴らしいシンフォニックを創造している。
 ウェイクマンからの影響を感じさせるピアノやハモンドを含めたキーボードワークのスキルの高さも見逃せない。
 若い新世代らしいロシアのサウンドながらも、仄かに民族的な調べを隠し味で持っていくところにも心憎さを感じる。
http://www.quorum.su

画像★ YUKA & CHRONOSHIP/Water Reincarnation
   (from JAPAN 2011)

 シンガーソングライター兼コンポーザーとして長きに亘りソロ活動を続けていた船越由佳(パイオニアとSONYからそれぞれ計3作品の作品をリリースしている)が、2009年に理想的な音楽的志向(嗜好)を目指すミュージシャン仲間達と共に結成したユカ&クロノシップの記念すべきデヴュー作品。画像
 長年培われた音楽的経験と透明感溢れるアーティスティックな感性とが遺憾無く発揮された本作品からは、敢えて“何々風に似ている”とか、よく言われがちな“○○○○というバンドの音に近い”云々といった次元やカテゴリーとは一線を画した、彼女でしか描ける事の出来ない聡明さと心象風景が作品全体に鮮明に反映されているかの様だ。
 水とそれらに纏わる生命力、輪廻転生、森羅万象といった壮麗なテーマを謳った、まさしく混迷する現在の地球への祈りにも似た鎮魂歌をも想起させる。
 かつてのミスター・シリウス…そして最近のアクセプト(同名のメタルバンドとは無関係!)にも相通ずるアコースティックでトラディッショナルな音色と響きを活かした音世界に、日本のプログレも遂にここまで来たのかと感嘆する事しきりである。
 ジャパニーズ・プログレッシヴの新たな時代の到来と分岐点をも予感させる近年稀に見る秀作と言えるだろう。落涙必至は間違いあるまい。
http://omp-company.com/chronoship/

画像★ TIME HORIZON/Living Water
   (from U.S.A. 2011)

 ベテラン及び中堅処を例外とすれば、昨今のアメリカン・プログレッシヴは良し悪しを抜きに質よりも量産みたいな傾向がやや見受けられる様だ。
 そんなさ中に於いて、マース・ホロウの新譜2nd(サーカのビリー・シャーウッドがプロデュース)と並んで、久々に骨のある期待のニューカマーが登場した。
 タイム・ホライズンと名乗る4人組(全曲中、2曲のみギターとベースが違う)は、リーダー兼キーボーダーとウェットンの歌唱法を意識しているかの様なドラマー兼リードヴォーカルの2人を核にエイジアからの影響を彷彿させつつ、カンサス、スティックス、スターキャッスル、果てはスポックス・ビアードといった正統派アメリカン・プログレの流れと王道を地で行く生粋の“北米の音たるもの”を継承した好作品に仕上がっている。
 作品タイトルとCDのインナーを参照してお解り頂ける通り、アフリカやアジアでの干ばつ地域へ水を供給する運動にも協賛しており、作品の売り上げの一部が運動資金へ寄付されるみたいだ。
 プログレッシヴにしてヒューマンなハートを持った彼等の今後の動向を大いに注目していきたい。
http://www.timehorizonmusic.com

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